1号はお菓子を作るのが上手だ。というか、調理全般がレッドリボン軍に居た頃から考えると比べ物にならないくらい上手になっている。
レッドリボン軍に居た頃は調理する機会なんて無かったけど、カプセルコーポレーションに就職してからというもの、前から疑問に思っていたらしいヘド博士の食生活を改善するために調理する機会が増えたらしい。
それに伴って、味見だけでなく食事を楽しめるように1号には味覚の追加や食事を出来るように改良を施された。ドラゴンボールで復活した後に、ボクも同様の改良を受けた。
お菓子を作るのが上手くなったのもヘド博士の健康管理の一環なのかと思って、1号が作ったチョコチップクッキーを食べながらその事を何気なく問えば、1号は少しだけ戸惑ったような顔をした後に小さな声で恥ずかしそうに「おまえのためだ」と零した。
「ボクのため?」と問えば、「バレンタインに2号に美味しいお菓子を贈りたい」という理由からお菓子を作っていたらしい。1号はボクが戻ってくるまで定期的にお菓子を作っていたらしく、時折ヘド博士やブルマ博士にも振舞っていたそうだ。
それを聞いたボクは、たまらなく嬉しかった。1号が、ボクの事を想って一年間お菓子作りの練習をしていてくれたなんて! お菓子を作っていた理由だって、直接伝えるのが恥ずかしければヘド博士のためとかいろいろと理由は付けて誤魔化せそうなものだけど、そこを誤魔化さずに伝えてくれる1号の直向きさに胸を打たれた。ボクはこんなにも1号に愛されているんだ。なんて、なんて嬉しいんだろう!
1号の愛に触れて、ボクからも何か1号に贈りたいと思ったが、ボクには製菓の技術があるとはお世辞にも言えない。簡単なチョコレート作りくらいなら出来るだろうけど、1号は一年かけてボクへの愛を育ててくれていたのに、ボクだけ付け焼き刃の成果物を振舞うのもいかがなものかと考えた。
世間の人はどんな物をバレンタインで贈っているのか少し調べてみれば、バレンタインにはチョコレートだけでなく様々なものを贈って良いという事を知った。ありきたりと言ってしまえばそこまでだけど、ボクは「バレンタインに恋人へ贈る物ランキング」で上位に食い込み、かつチョコレートではない物をリサーチして、結果的に花を選んだ。
理由は至極単純で、1号に真っ赤なバラが似合うと思ったからだ。可愛らしいフラワーアレンジメントなんかも最近は出ているらしいが、1号には真っ赤なバラだけを贈りたい。「愛を育んでいくという意味を込めて鉢植えを贈るのも素敵」なんて文を見た日には、これしかないと思うほどだった。
ボクが戻ってくるまでの一年間、ボクへの想いを育てて、ボク好みのお菓子を作れるようにお菓子作りの練習をしてくれた1号と、ボクはもっと愛を育んでいきたい。
ボクらはお互いが初めて恋愛感情を抱いた存在だ。もっともっと、今ボクは1号に恋をしていて、愛しているって伝えたい。
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